多言語環境で育つ子どもたちの現状 日常会話はできるけれど、学習言語は難しい。

日常生活で困らない言語能力を持っていても、
学習場面で使う言葉が分からず困っている子どもたちがたくさんいます。
小学3年生のマイケル君もそんな子どものひとりです。

移動する子どもたち、多言語環境で育つ子どもたち

日本は近年、外国人居住者の増加に伴い、
公立学校にも外国人児童生徒が増えていきます。

日本語指導が必要な外国人児童生徒の在籍数別学校数

近年、日本には外国人居住者が増加し、それに伴い、公立学校にも外国人児童生徒が増えてきています(平成28年5月1日現在 80,119人 10年前と比べ約1万人増)。ブラジルやペルーなどの南米諸国、フィリピンや中国などのアジア諸国から来た子たちは「移動する子どもたち」、「多言語環境で育つ子どもたち」、「外国につながる子どもたち」などと呼ばれています。

ダブルリミテッド

日本語の習慣の遅れによって
「ダブルリミテッド」(=二言語とも充分に発達していない状態)
となってしまう子供たちも少なくありません。

これらの児童生徒は、日本語の習得の遅れによって「ダブルリミテッド」(= 二言語とも充分に発達していない状態)となってしまう場合も少なくありません。日常生活で困らない言語力がついた(= 生活言語が身についた)と安心しても、学習に必要な言語指導をしなければ、学業不振に陥り、場合によっては不登校に繋がってしまうことが少なくありません。生活言語は比較的容易に身につけることができますが、思考に使う抽象的な言語や学習言語を身につけることは難しいのです。このような児童生徒にとっては、適正な時期に適切な支援をして、学習言語を習得させることが最重要となります。

保護者のみなさまへ

母語のシャワーを

子どもは母親の胎内にいるときから、言葉を聞いています。「愛してるよ。」「早く会いたいよ。」などポジティブな言葉のシャワーを浴びて育ちます。その言葉は独自のリズムを持ち、その文化の香り漂う母親の母語です。 生まれてからも、子どもは親の母語を聞いて育ちます。子どもは自分の好きなものを指さし、うれしそうにその名前を発します。特に教えようとしなくても、子どもたちは母語を覚えていきます。 母語は、それが指し示すものの色や感触が思い浮かぶ言葉、情感を込めやすく、親にとって自信を持って話すことのできる言葉です。

子どもの順応性

幼児になって、家族以外の人々と子どもは出会います。子どもにとって影響力の強い存在は幼稚園・保育園の先生や友だちです。この人たちが母語とは違う言葉で話しかけてきても、子どもは受け入れ、簡単に言葉を覚えていきます。
一方、親が母語で話していれば、母語もどんどん増えていきます。この年齢の子どもの順応性はとても高いものです。

小学校入学または転入学のとき

このとき、日本の学校で困らないようにするために、家庭でも日本語を使うべき悩み、実際に実行するというケースも少なくありません。
最近の調査・研究では、母語で話しかけないと、母語、日本語どちらも十分習熟しないことが明らかになってきています。
日本語を家庭の中で使うこともあるでしょうが、母語で子どもに話しかけることをやめる必要はないのです。家族内で母語を使って、たくさん話し、楽しい時間を持つことがこの年齢の子どもにとって、とても重要なことです。このことがその後の言語発達の基礎となるのです。

教育関係のみなさまへ

幼児・低学年児童との関わり

この年頃の子どもたちの順応性は素晴らしいものです。教師が外国語を話す子が入って来た、どうしようと思っているうちに、その子どもは日本語を話し出します。
実物に触れさせながら、体験を通じて学ぶことの多いこの時期は、その行動と共に言葉を覚えることができ、比較的スムーズに教育活動が成り立ちます。
この年齢の子どもの保護者とは、連絡を取り合うことが必要ですが、翻訳者がいないときケースもあります。そんなときは、日本語の文章を短く区切ってゆっくり話す、丁寧語は省いて話すとよいようです。さらに、簡単な絵を描く、電子辞書を使う、インターネットの翻訳サイトを利用してコミュニケーション取ることができます。

中学年以降

子どもの話す日本語は流暢で、特別なケアは何も必要ないようにみえます。
しかし、学力の伸び悩みが出てくる頃です。家庭で難しい日本語に触れることがないこの子どもたちには、学習言語を習得させるための支援が必要です。
その一方で、支援のノウハウや必要な教材は教育現場に十分行き渡っていません。 外国につながる子どもたちの多くは、2年生配当の漢字をマスターできず、その後の学習に支障をきたしています。算数では、九九特有の数字の読み方で戸惑い、かけ算が苦手になっている子ども、桁の多い数の区切り方が違うので、位取りがよく理解できなくなっています。また、理科や社会の用語が分からないため、その教科が嫌いになってしまう子どもがいます。このようなこの子どもたちの特徴を知り、対処していく必要があります。
さらに、高学年・中学校では、教科書で使われる漢字が増え、日常会話では出てこない言葉が頻出ようになるため、学習意欲を低下させてしまう子どもが増えてしまいます。 これらの子どもは家庭でフォローを受けることが難しく、学校や地域のボランティアの支援が不可欠です。しかし、この年齢の学習指導には専門性が必要です。しかし、そのための教材は大変不足し、指導法も行き渡っていません。
にわとりの会はこの問題を解決するために、学習言語習得に役立つ教材作りを行い、指導のノウハウを提供していきます。
子どもの夢を実現するために必要な基礎学力育成を応援する活動を行っていきます。
本会の活動は始まったばかりですが、今後、教材開発を続け、セミナーの開催をして指導法を提案していきます。応援よろしくお願いいたします。